2013年6月23日日曜日

水稲箱処理剤に関してよく受ける質問について

私の地域では田植えの真っ最中ですが、この時期になると生産者さんから箱処理剤の事でよく質問があります。
それで、今回は圧倒的に多かった2項目の質問について記載したいと思います。

【質問】
①「移植3日前〜」となっている箱処理剤で天候や作業の段取りなどの関係で早く処理して良いか?

②移植当日に処理すると田植機に載せた際に薬剤が零れ落ちるのだけどどうすればよいか?

【回答】
①に関しては、残念ながら駄目です。登録違反だからと言ってしまえば身も蓋もない回答ですが、もう一つ大きな理由として薬害の心配があるからです。ですので、それ以前に使用したい際は『播種時覆土前〜移植当日』と記載がある剤が良いと思います。例としては以下の剤が挙げられます。

■虫のみの場合:プリンス粒、フェルテラ箱粒剤など。
■病害虫の場合:嵐プリンス箱粒剤、ルーチンアドスピノ箱粒剤、ツインターボフェルテラ箱粒剤(JAのみ取扱)など

※今回例にあげた薬剤は、害虫はコブノメイガ、ウンカで記載があるもの。病気に関してはいもち病で記載があるものに限定しています。薬剤を選ぶ際はご自分のニーズにあったものを購入先の店舗で相談して選んでください。


②に関してはパッケージの裏などに『薬剤を処理した後に軽く灌水する』旨が書いてあります。これは、灌水する事によって薬剤を土壌に固着させて零れ落ちないようにするという意味です。一手間になりますが宜しくお願いします。



2013年6月8日土曜日

展着剤は必要か?

展着剤に関しては時々、加用する必要があるかどうかで悩むことがあります。一般的には乳剤やフロアブル剤を使う際には元々展着剤が入っているので使う必要はないという事になっております。

上記のような理由から私も展着剤を入れるべきかどうかという相談に対しては、水和剤を使用されない場合は使わなくても良いのではというアドバイスを行ってきました。ただ、先日大変興味深い試験に立ち会うことができ、勉強になった事がありましたので写真を交えて報告させていただきたいと思います。

今回行ったのは、ある新剤(現状では具体的な薬剤名は明かせません)の試験でフロアブル剤と展着剤の加用試験です。

①展着剤を加用しなかった場合。


葉、果実共に付着した薬液の水滴が大きく、また均一に付着していなかった。当然、乾きも遅かった。



②スカッシュを加用した場合(浸透性+浸展性)


薬液の水滴が非常に細かくまた葉、果実共に均一に濡れていました。




③アプローチBIを加用した場合(浸透性のみ)


葉、果実 共に均一に濡れているが、果実に付着した薬液に関してはスカッシュに比べ水滴が大きい。

以上の結果から、機能性展着剤を加用しても問題無い薬剤ならば混用すべきだと改めて感じさせられました。また、果菜類には浸展性があるものが望ましいと思います。

農薬の特性一覧表

普段使っている農薬がどういった特性があるのか気になることは多いと思います。

例えば、病気でならば「治療剤」なのか「予防剤」なのか?害虫ならば「接触毒」なのか「食毒」なのか?などなどパッとラベルを見ても分からないですよね。

それで全部が網羅してあるわけでは無いですが、効果の一覧表みたいなものがありましたので下にリンクを貼っておきます。宜しければ役に立ててください。

薬剤特性概要はコチラ


2013年6月6日木曜日

アグリメック乳剤発売から1週間経ってみて見えてきたもの

まず、最初にお断りしておきますが私の地域のナスにおけるアザミウマに限定した話です。

事前のメーカーによる公式試験が行われないままの発売となったアグリメック乳剤。前評判が高かった為に色々な散布方法が行われることになり、沢山の声をお伺いする事になりました。
そういう沢山の声を聞いて見えてきたことを下に記したいと思います。

【使ってみた感想】
①アザミウマ多発時には700〜1,000倍での単剤散布は効果が薄かった。
②アザミウマが低密度の圃場では1,000倍でも十分効果を感じた。
③混用すると効果が良かった。
④特に単剤散布では速効性という感じではなかった。

【考えられる使用の仕方】
①冬場などアザミウマが少ない場合は1,000倍でも十分効果があると思われる。
②激発時はアグリメック(800倍)+ハチハチ(1,000倍)が効果が高い。

但し、②の混用に関しては私の地域での話でハチハチはメインの防除剤として効果が十分に見られるという背景がありますので実際に使われる際は、ご自分の地域で効果のある剤と混ぜるのが良いかと思われます。
ちなみに、今回アグリメック自体が遅効的ではとの声が多かったので遅効的である脱皮阻害剤との混用はオススメしかねると思います。