2013年7月30日火曜日

土壌還元法

私の地域では最近普及所や営農指導の方々から、よくこの言葉を伺います。
普及背景としては、暗渠がそのまま河川や用水路に流れるようになっているのでクロールピクリンなどの土壌消毒剤が使えないという事が大きい要因としてあり、そういった圃場に対しての土壌消毒手段として普及が進みつつあるといった感じです。

概論的ですが、特徴や消毒法、メリット及び注意点は以下の通りかと思います。

【対象病害虫】
・ネコブセンチュウ
・青枯病(但し、米糠だけでは効果は不安定)
・根腐病
     など

【材料】
・米糠(10a当たり1t)
・糖蜜(10a当たり90Kg)←青枯病対策や消毒処理層が50cm欲しい場合。
・被覆用ビニール
・灌水チューブ

【メリット】
・低コストで行える(但し、20Kg袋で1t分購入した場合や糖蜜を加える際は高コストになる事も)
・水を張ると塩類除去の効果も期待できる。
・糖蜜を加えれば処理層が50cmに達する。
環境全体で考えると負荷が少ない。

【注意点】
・米糠を購入する際は遅くとも3ヶ月前から予約しておく事。
・対象病害虫が限られている事。
・地温で30度以上の状態を2週間必要な事(時期的に夏場に限定される)
・窒素分が10a当たり約22〜25Kgの窒素成分を与えた形になるので植え付け前に土壌分析と施肥設計を行ってもらう事。

具体的なやり方としては、コチラのPDFファイルが役に立つかと思います(資料①)

また、効果等に関してはこちらのPDFファイルが役に立つと思います(資料②資料③)

どの土壌消毒にも適した方法というのがあります。効果面、経費面等を照らし合わされてみて御自分に合われた土壌消毒を行っていただければ幸いに存じます。



2013年7月4日木曜日

各栽培法の立ち位置

実は、この記事を書くことはためらいがある事を先に記させていただきます。

書こうと思ったきっかけは、ある方から『奇跡のリンゴ』という映画についてどう思うか書いて欲しいという事からだったと思います。彼はこの映画に否定的でした。理由は化学農薬を使った農業をされてる方を馬鹿にするような意見をどこそこで見聞きするようになったからだそうです。

残念ながら、この映画を私は見てませんので『奇跡のリンゴ』に関しては触れません。

で、何を語るかというと主に今回は消費者の方向けの内容になるかと思いますが、おおまかな栽培方法と立ち位置です。

【既存農業】
化学農薬や肥料を使用する栽培で、多くはこの分類に入ると思います。この背景には私たち消費者の元に安定して綺麗な作物を提供するという役割りがある為、市場が求めてくる量と品質に応え続けるための一つの最適解となるためです。

【無農薬野菜】
こちらは生産者の思想哲学みたいなところが強いと思います。どうしても手間が掛かるので人件費対出荷量という部分で高コストになりますし、安定して出荷できるノウハウがあるなら良いのですが、一般的に収量は不安定だと思います。

【有機栽培】
減化学農薬栽培と言われるもので既存農業に対し、化学農薬および化学肥料を半減して栽培するものです。そのため有機質肥料のような高価な資材を使うので高コストになりがちです。

こうやってみると、既存農業は私達の食卓を安定して支えるため。他二点の栽培法は「減化学」および「完全有機」という付加価値を求める消費者向けと区別でき、それぞれが担う役割が違うと分かっていただけると思います。

また、既存農業については、作物にもよりますがICMおよびIPMという考え方が浸透しつつあります。特にICMに関しては化学農薬は最後の手段と考え、まずは病気や虫を圃場で発生させないようにどうすれば良いかという理論で、これは今後農業が永続的に続くための鍵になると個人的に考えてます。
また、虫を使って害虫を駆除する方法(天敵)や米ぬかを使って土壌消毒する方法(土壌還元法)などもだいぶ普及されてきてますので昔ほど化学農薬に頼りっぱなしでないこともここに伝えておきたいと思います(出来る作物、出来ない作物はありますが…)

最後に、工業製品のような綺麗な野菜が毎日店頭に並ぶ事。これ自体が奇跡だと思っていただけたなら幸いだと思います。
私自身、農家さんから曲がってたり虫喰いがある野菜を貰う事は多々ありますが、半分に切ったら虫さんとコンニチワする事はしょっちゅうで、枝豆から豆が出てこず茹であがった芋虫が出てきた事もありました。こんなリスクを背負わずに店頭には綺麗な野菜が並んでるのですから日本は幸せだと思います。


2013年7月3日水曜日

苗いもち病について

今年は例年に比べて苗いもち病の相談が多かったように感じられました。
そこで、今回は苗いもち病が出た場合の対処について少しだけお話をしたいと思います。

といっても一言だけなのですが、結論から言えば…

農薬は散布しなくてOK!

ということだけです。

理由としては、育苗期間中はどうしても株が密植状態ですので風通しが悪くなり、そこに湿度が籠る事でいもち病が発生しますが、田植えをしてしまえば株間が十分にできるので風通しが良くなり自然と消えてしまう為だそうです。

私自身、なぜ止まるのかをコレ以上事細かに理屈立てて説明できませんが、各農薬のメーカー担当に伺っても皆一様にこのアドバイスですし実際にお客さんに試していただいたところ、その後病気が広がる事もなく自然と治まってしまいました。

ーちなみにー
どうしても苗の時期に薬剤散布したい場合は予防剤としてのフジワン粒剤しか登録がありませんのでご注意ください。

2013年6月23日日曜日

水稲箱処理剤に関してよく受ける質問について

私の地域では田植えの真っ最中ですが、この時期になると生産者さんから箱処理剤の事でよく質問があります。
それで、今回は圧倒的に多かった2項目の質問について記載したいと思います。

【質問】
①「移植3日前〜」となっている箱処理剤で天候や作業の段取りなどの関係で早く処理して良いか?

②移植当日に処理すると田植機に載せた際に薬剤が零れ落ちるのだけどどうすればよいか?

【回答】
①に関しては、残念ながら駄目です。登録違反だからと言ってしまえば身も蓋もない回答ですが、もう一つ大きな理由として薬害の心配があるからです。ですので、それ以前に使用したい際は『播種時覆土前〜移植当日』と記載がある剤が良いと思います。例としては以下の剤が挙げられます。

■虫のみの場合:プリンス粒、フェルテラ箱粒剤など。
■病害虫の場合:嵐プリンス箱粒剤、ルーチンアドスピノ箱粒剤、ツインターボフェルテラ箱粒剤(JAのみ取扱)など

※今回例にあげた薬剤は、害虫はコブノメイガ、ウンカで記載があるもの。病気に関してはいもち病で記載があるものに限定しています。薬剤を選ぶ際はご自分のニーズにあったものを購入先の店舗で相談して選んでください。


②に関してはパッケージの裏などに『薬剤を処理した後に軽く灌水する』旨が書いてあります。これは、灌水する事によって薬剤を土壌に固着させて零れ落ちないようにするという意味です。一手間になりますが宜しくお願いします。



2013年6月8日土曜日

展着剤は必要か?

展着剤に関しては時々、加用する必要があるかどうかで悩むことがあります。一般的には乳剤やフロアブル剤を使う際には元々展着剤が入っているので使う必要はないという事になっております。

上記のような理由から私も展着剤を入れるべきかどうかという相談に対しては、水和剤を使用されない場合は使わなくても良いのではというアドバイスを行ってきました。ただ、先日大変興味深い試験に立ち会うことができ、勉強になった事がありましたので写真を交えて報告させていただきたいと思います。

今回行ったのは、ある新剤(現状では具体的な薬剤名は明かせません)の試験でフロアブル剤と展着剤の加用試験です。

①展着剤を加用しなかった場合。


葉、果実共に付着した薬液の水滴が大きく、また均一に付着していなかった。当然、乾きも遅かった。



②スカッシュを加用した場合(浸透性+浸展性)


薬液の水滴が非常に細かくまた葉、果実共に均一に濡れていました。




③アプローチBIを加用した場合(浸透性のみ)


葉、果実 共に均一に濡れているが、果実に付着した薬液に関してはスカッシュに比べ水滴が大きい。

以上の結果から、機能性展着剤を加用しても問題無い薬剤ならば混用すべきだと改めて感じさせられました。また、果菜類には浸展性があるものが望ましいと思います。

農薬の特性一覧表

普段使っている農薬がどういった特性があるのか気になることは多いと思います。

例えば、病気でならば「治療剤」なのか「予防剤」なのか?害虫ならば「接触毒」なのか「食毒」なのか?などなどパッとラベルを見ても分からないですよね。

それで全部が網羅してあるわけでは無いですが、効果の一覧表みたいなものがありましたので下にリンクを貼っておきます。宜しければ役に立ててください。

薬剤特性概要はコチラ


2013年6月6日木曜日

アグリメック乳剤発売から1週間経ってみて見えてきたもの

まず、最初にお断りしておきますが私の地域のナスにおけるアザミウマに限定した話です。

事前のメーカーによる公式試験が行われないままの発売となったアグリメック乳剤。前評判が高かった為に色々な散布方法が行われることになり、沢山の声をお伺いする事になりました。
そういう沢山の声を聞いて見えてきたことを下に記したいと思います。

【使ってみた感想】
①アザミウマ多発時には700〜1,000倍での単剤散布は効果が薄かった。
②アザミウマが低密度の圃場では1,000倍でも十分効果を感じた。
③混用すると効果が良かった。
④特に単剤散布では速効性という感じではなかった。

【考えられる使用の仕方】
①冬場などアザミウマが少ない場合は1,000倍でも十分効果があると思われる。
②激発時はアグリメック(800倍)+ハチハチ(1,000倍)が効果が高い。

但し、②の混用に関しては私の地域での話でハチハチはメインの防除剤として効果が十分に見られるという背景がありますので実際に使われる際は、ご自分の地域で効果のある剤と混ぜるのが良いかと思われます。
ちなみに、今回アグリメック自体が遅効的ではとの声が多かったので遅効的である脱皮阻害剤との混用はオススメしかねると思います。